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Department of Infectious Diseases

感染症科

感染症科では、犬猫における細菌、ウィルス、原虫などの感染による病気の診断治療を行います。
感染症は予防が第一ですが、感染発症した動物に対しては治療が必要となります。
また、犬猫だけでなく人にも感染する人獣共通感染症の予防は公衆衛生上とても重要になります。

バベシア症

バベシア症とは?

バベシア原虫(Babesia gibsoni)という病原体が犬の体内に入ることにより起こる、犬にとっては致命的な感染症です。バベシア症に感染した犬では重度の貧血が起こり、放置すると死に至るという非常に恐ろしい感染症です。
この病原体はマダニを中間宿主としています。この病原体に感染したマダニが犬の血を吸血するときにバベシア原虫がダニの体内から犬の体内へと移動します。
日本国内での主な流行地域は関西以西の西日本・九州・沖縄地方ですが、近年では東日本以北での犬の感染例も報告されています。

バベシアが感染すると…

犬の体内に侵入したバベシア原虫は血液中で赤血球に寄生します。感染した犬の免疫システムはバベシアが寄生している赤血球のみならず正常な赤血球までも破壊することが知られています。こうして致命的な貧血が際限のなく進行していきます。

どんな症状なの?

貧血のため口の中や目の結膜は白っぽくなります。重症の場合には黄疽で黄色っぽく見えることもあります。 また、破壊された赤血球の色素が尿中に出るため尿が非常に濃い色になります。元気・食欲がなくなり、運動にも行きたがりません。ついには起きあがることも出来なくなって放置すると死亡します。

どんな検査をするの?

血液を採って赤血球中のバベシアを顕微鏡で確認する直接鏡検法の他、バベシアに対する抗体を測定する方法やバベシアの感染を調べる遺伝子検査(PCR法)を行います。しかし、症状が強くない場合は感染していても検査で陰性が出る場合があります。

治療方法は何があるの?

注射薬や飲み薬を使った治療が主になりますが、貧血がひどい時には輸血が必要になることもあります。現在の所、特効薬といわれるものがなく、お薬での完全治癒が困難な病気です。一旦症状が治まっても完治せず、バベシアが体内にひそんでいることがあり(不顕性持続感染)、何らかの原因で再発が見られることもよくあります。

予防はできないの?

バベシア症はマダニによって媒介されますから、マダニに吸血されないことが最大の予防策となります。マダニ駆除効果の高い動物用医薬品を使うなどしてマダニの吸血を避けることが、最も現実的な予防法です。バベシア症が発生している地域ではマダニの寄生を防ぐことがバベシア症から身を守ることにつながります。